
弁護士コラム「 債務整理①(錯覚しがちなリボ払い)」
2023.12
1 今回から何回か(予定では4回)にわたって、「借金」についてのお話をしていこうと思います。
第1回は、「リボ払い」のお話です。
2 一括で支払うのがなかなか大変な高価なお買い物をしたときなど、クレジットカードを利用して代金を分割で支払うことができるととても便利です(利息は決して安くないですが…)。
代金などを分割する際、従来は「○回払い」という分割方法が一般的でしたが、近時は「リボ払い」という分割方法もよく耳にするようになりました。
分割払いは利用額を何回かに分割し、そこに利息をつけて1回あたりの返済額を決めます(つまり、先に分割払いの回数を決めます)。
これに対し「リボ払い」は、回数よりも先に1回あたりの返済額を決めます。5,000 円、10,000 円などキリの良い金額にすることが多いようです。1回あたりの返済額は、利用額がいくらであっても変わりません。利用額が高額となる分は、1回あたりの返済額ではなく、返済の回数に反映されます(商品の代金が高額となればそれだけ返済回数が増えていくことになります)。
3 月々の返済額が変わらないというのは、一見するとそのときどきの収入や支出の増減に影響されづらく見通しを立てやすいように思えます。
しかし、ここに「リボ払い」の怖さがあります。まず、①月々の返済額が変わらないため、返済総額を把握しづらいのです。そのため、まだまだ余裕で返済できるとの錯覚に陥って次々と利用してしまい、気づいたときには総額が目の飛び出るような金額になっていた…ということがあります。
また、② 月々の返済が元本にのみ充当されるという錯覚に陥りがちですが、実際にはそうではありません。月々の返済額には、元本だけでなく手数料(利息)分も含まれています。
例えば、12万円の商品をカードで購入し、月々の返済を1万円程度にしたいとします。分割払いであれば、12回=1年での返済となります。手数料が年15%とすると1年で18,000円になり、月々の手数料分は18,000÷12=1,500円となります。従って、月々の返済額は 11,500 円となります。この額を 12回支払えば、元本・利息とも完済となります。
これに対し、リボ払いによると、月々の返済額を10,000円に設定することになります。月々の返済額だけ比べれば、分割払いよりもリボ払いのほうが負担が少ないかのような錯覚に陥ってしまいます。
しかし、10,000円には手数料分1,500円が含まれているのです。そのため、元本は8,500円しか返済できていません。12回頑張っても元本は120,000円のうち102,000円しか返済できておらず、残りの元本18,000円を返済する分だけ返済期間が延びます。
その上、③返済期間が延びればその分手数料も上がるおそれがあります。その分は、月々の返済額に反映されます。つまり、月々の返済額のうちの元本分がさらに少なくなり(手数料分が多くなり)、毎月頑張って返済してもなかなか元本が減らない…ということになります。
そして、元本が減らなければ返済期間が延び、返済期間が延びればその分手数料も…(以下、繰り返し)という悪循環に陥ります。こうなってしまうともはや返済は困難となり、債務整理の手続が必要になります。
4 もちろん、「リボ払い」のシステムは全くもって違法ではありません。しかし、「毎月同じ額を返済する」という単純明快さゆえに錯覚に陥りがちで、実際にはとても複雑な制度であるという意識のないままに利用してしまうことが多いように思います。ご利用にあたっては、便利さばかりではなく、リスクにも十分に目を向けておく、少なくとも分割払いの場合と比較してみる必要があるでしょう。
さて、次回は、テレビやインターネットのCMで一度は目にされたことがあると思われる「過払金」を取り上げてみようと思っています。
その後、任意整理や自己破産といった債務整理のお話をさせて頂こうと考えています。

▼執筆者紹介
明日の風法律事務所 久保田 聡 弁護士
武蔵野市成年後見制度地域連携ネットワーク連絡協議会委員、同市地域自立支援協議会委員、同市高齢者及び障害者虐待防止連絡会議委員、同市障害者差別解消支援地域協議会委員、NPO法人こだまネットもと副理事長など、地域の権利擁護のために奔走中。
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