
弁護士コラム「キャッシュレス決済と付与ポイント」
2025.2
1 最近はすっかり「キャッシュレス決済」が普及した感じです。巷でも、お財布の中でも、さまざまなカードがあふれています。
それらのカードをいくつかのグループに分けるとしたら、どのような分け方が考えられるでしょうか。
カードの素材に着目すると、磁気カードとⅠCカード(プラスチックのカードにICチップが埋め込まれているもの)に分類することができます。ただし、磁気カードはテレホンカードやオレンジカード(電車の切符購入用)など最近では見かけないものも多く、最近のカードはほとんどがICカードなので、これでは分類とは言えないかもしれません。
同じく見た目という点では、素材ではなく色に着目して、一般カード、ゴールドカード、プラチナカードという分類もできるかもしれません。
2 他方、見た目ではなく支払方法に着目すると、プリペイドカード、デビットカード、クレジットカードに分類することができます。
では、ここで問題です。「ちょっと◯◯を買ってきて。支払いはこのカードでお願い」と頼まれたとき、使ってはいけないカードはどれでしょう。
正解は…クレジットカードです。まず、プリペイドカードは券面額に相当する代金を事前に支払ってカードを購入するか、事前に金額をチャージした上で利用するので、その時点で支払いが済んでいるのと同じことになります。
また、デビットカードというのは、予め登録しておいた口座の残高を限度に利用できるカードであり、カードを利用するのと同時に口座から引落しがなされるため、これも現金の代わりという性質が強いと言えます。
これに対し、クレジットカードは、購入代金をいったんカード会社が立て替えて購入先(店舗やインターネットのサイト)に支払い、利用者がカード会社に立替分を後日返済するという仕組みになっています。そのため、カード会社は、立替分をきちんと返済してくれそうな人かどうかを審査した上でカードを発行しています。それゆえにクレジットカードは本人以外の利用が認められていません。これは、仮に本人に頼まれた場合であっても同様です。多少不便ではあるかもしれませんが、本人に頼まれたと言って悪用する場面を想定すると致し方ないと言えます。
現金ではなくカードで支払うよう頼まれた場合には、現金の代わりと言えるプリペイドカードかデビットカードのときだけ応じるようにするのが良いでしょう。
3 ところで、お店やインターネットのサイトで商品を購入すると、購入額に応じてポイントを付与してもらえることが多いです。このポイントは誰のものになるでしょうか。
各種カードを利用して支払いをすればそのカードにポイントが付与されるので、付与されたポイントがカードの名義人のものになることにそれほど問題はないと思います。
これに対し、現金で支払いをした場合はどうでしょうか。
ポイントの付与は、商品の購入に対してなされるサービスと考えられるため、基本的には購入した人(購入代金を支出した人)に帰属するものと考えられます。
そのため、Aさんに頼まれて買い物をし、預かった現金で支払いをしたBさんは、Aさんのポイントカードにポイントを付与してもらわなければなりません。こっそりとBさんのポイントカードにつけてしまうのは、理論上は横領罪(買い物代行などお仕事としてであれば業務上横領罪)に該当します。
1回あたりのポイント数は小さいとしても、ポイントを利用して買い物ができたり、換金したりできることから、ポイントも現金に準じる資産と言えます。大した額じゃないから‥と思っていると意外な落とし穴があるかもしれないので注意が必要です。
4 他方、上記のケースでそもそもAさんが「ポイントカードを持っていない、ポイントを貯めていないので要らない」と言ったらどうでしょう…。
この場合は、①そもそもポイント自体が発生しない、②いったんはAさんのものとなったポイントをAさんが処分した、などいろいろな考え方があり得ると思います。
もっとも、どのような考え方であっても、Aさんのポイントでないからといって、それが直ちにBさんのものになるとは限りません。Aさんからポイントをもらうことについての了承を取りつけておくのが確実と言えるでしょう。

▼執筆者紹介
明日の風法律事務所 久保田 聡 弁護士
武蔵野市成年後見制度地域連携ネットワーク連絡協議会委員、同市地域自立支援協議会委員、同市高齢者及び障害者虐待防止連絡会議委員、同市障害者差別解消支援地域協議会委員、NPO法人こだまネットもと副理事長など、地域の権利擁護のために奔走中。
▼人材育成センターの法律相談について
当センターでは、福祉事業所・団体支援や介護・福祉従事者支援の一環として「介護職の悩み相談」等を受け付けております。法的な助言が必要な場合には、地域の弁護士と連携し対応いたします。
ご相談を希望される方はセンターまでお問い合わせください。
