弁護士コラム「キラキラネームと戸籍のフリガナ」

2025.6

 いつの頃からか、漢字本来の読み方や意味から離れ当て字やキャラクター名などを用いたお名前…いわゆる「キラキラネーム」が注目されるようになりました。
 インターネットで検索してみたところ、リクルーティングスタジオ社が2013年10月23日に発表した「キラキラネーム ベスト30」というランキングを発見しました(最近はむしろ古風な名前が好まれる傾向にあるとのことで、2010年代がピークだったようです)。
 ランキングの1位は「昊空(そら))」、2位は「心愛(ここあ)」、3位は「希愛(のあ)」だそうで、その他10位までには「七音(どれみ)」、「匠音(しょーん)」、「姫星(きてぃ)」といった「難読漢字」も含まれています。
 このコラムをお読み下さっている中に同じ名前の方がいらしたら失礼をお詫びしますが、しかし、正直に申し上げますとキラキラしているか否かという以前に、読めません。フリガナがなければ絶対に読めません…。

 キラキラネームに限らず、お名前や地名などの固有名詞は本当に読み方が難しく、フリガナが振ってあればなぁ…と思うことがしばしばあります。
 こちらもインターネットの情報ですが、「四月一日(わたぬき)」さんや「一(にのまえ)」さんといった名字があるそうです。どちらもフリガナなしには読めません…。
 また、名字自体はよく拝見することがあっても読み方が複数あり得て悩ましいお名前もあります。例えば「山崎さん」は「ヤマサキさん」なのか「ヤマザキさん」なのか、フリガナがあれば悩むこともないのだろうと思うことがあります。

 そんな気持ちを察してくれた…わけではないと思いますが、このたび戸籍の氏名にフリガナが振られるようになりました。戸籍法という法律の改正によるもので、難読名字やキラキラネームに限らず、すべての人の戸籍にフリガナが振られることになりました。
 政府広報によると、フリガナによって戸籍データの管理や検索が円滑になったり、戸籍上のフリガナは住民票やマイナンバーカードにも転用されるため、より正確に本人確認ができるようになるといったメリットがあるのだそうです。
 改正に伴い、フリガナは「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられました。具体例として、「漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:「高」と書いて「ヒクシ」と読む)」、「読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:「太郎」と書いて「ジロウ」、「サブロウ」などと読む)」、「 漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:「太郎」と書いて「ジョージ」、「マイケル」と読む)」といったものが挙げられています。
 これにより、これから生まれてくる子に「キラキラネーム」を名付けることが一定程度制限されることになると言われています(ただし、「桜良(さら)」、「心愛(ここあ)」、「美空(そら)」、「彩夢(ゆめ)」などは「関連性あり」とのお墨付きがなされています)。
 もっとも、上記の規律はこれから生まれてくる子だけではなく全員が対象となるため、「名前が地味で嫌だったからこれを機に奇抜な読み方に変えてしまおう」と思った場合も、新たに名付ける場合と同様の制限がされることになります。

 改正法は、本年(令和7年)5月26日から施行されています。今後、本籍地の市区町村から順次、フリガナを確認する通知が送られてくるそうです。その通知に書かれたフリガナが正しければ、特に何もする必要はありません。
 他方、フリガナが間違っていた場合は、1年以内(令和8年5月25日まで)に本籍地の市区町村に正しいフリガナを届け出る必要があります。
 間違っているフリガナを訂正しないまま期間が経過してしまうと、間違ったフリガナのまま戸籍に記載されてしまうことになります。そして、いったん記載されてしまうと、1回だけ訂正の機会が与えられるものの、その後は家庭裁判所での法的手続を経なければ訂正ができなくなってしまいますので、注意が必要です。

 戸籍の記載だけではなく日常生活にもいろいろと影響しそうな今回の改正ですが、実は驚くほど認知度が低いそうです(正直に申しますと、私もわりと最近まであまり認識しておりませんでした)。
 そのため、「突然何か通知が来た…新手の詐欺だろうか」と思ってしまいそうですが、ご自身はもちろんのこと、支援や介助をされている方にも通知が届くことになりますので、間違って破棄してしまわないようご注意ください。
 なお、今回の手続で手数料などを徴収されることはありません。「手続に必要だから…」などともっともらしいことを言って騙そうとする詐欺も想定されるところですので、こちらも十分にお気をつけください。

▼執筆者紹介
明日の風法律事務所 久保田 聡 弁護士

武蔵野市成年後見制度地域連携ネットワーク連絡協議会委員、同市地域自立支援協議会委員、同市高齢者及び障害者虐待防止連絡会議委員、同市障害者差別解消支援地域協議会委員、NPO法人こだまネットもと副理事長など、地域の権利擁護のために奔走中。

https://asunokaze-law.com

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